PHASE 05 — 文章

ホームページの文章はどう作る?AIの下書きが公開できる原稿になるまで

AI 1AI×人 3人 1

ホームページの文章は、AIに書かせてもいいのですか?

下書きはAIに任せても構いませんが、私たちはそのまま載せません。AIの下書きを、取材した人が「その店にしか書けない一行」に書き直します。翻訳調の言い回しや裏付けのない言い過ぎも外してから公開します。

  • 下書きはAI、書き直しと最終の判断は取材した人
  • どの店でも言える言葉を消し、その店の事実だけを残す
  • 「日本一」「必ず売れる」など裏付けのない表現は外す

AIの下書きは、そのまま使えないの?

私たちはAIの下書きを、書き直しの材料として使います。速くて整っていますが、どこかで見たような文章になりやすいからです。

原稿の下書きは、AIが一瞬で書きます。取材の議事録やブリーフ(事業の内容や強みを整理した資料)を渡せば、構成の整った文章がすぐに出てきます。白紙から書き始めるより、ずっと早く作業に入れます。

下書きを書かせる前に、AIに渡す材料をそろえるのは人の仕事です。取材で拾った言葉や、狙うお客様が実際に検索している言葉を渡しておきます。すると下書きの段階から、そのお店に近い文章になります。

ただ、AIの一文は、店名を入れ替えればどの店にも使えてしまいます。架空の味噌蔵の例でAIが書いた一文は「当店は伝統と革新を融合させ、お客様に最高品質の味噌をお届けします。」というものでした。文法の誤りはありません。けれども、どの味噌屋のページにもそのまま載せられてしまいます。

これを取材した人が書き直すと「冬の朝、蔵の中は吐く息が白くなります。その寒さが、味噌をゆっくり育てます。」になりました。蔵の寒さを肌で知った人でなければ書けない一文です。読んだ人の頭には、その店の冬の景色が浮かびます。

私たちの仕事は、AIの下書きができあがった先にあります。下書きそのものは数分でできあがります。何日かをかけて下書きをそのお店のものにしていくのが、文章の工程で人が受け持つ部分です。

「AIっぽい文章」は、どこを直すのですか?

AIっぽさの正体は、どの店にも当てはまる言葉です。それを消して、その店にしかない事実に置き換えます。

「伝統」「厳選素材」「こだわり」「最高品質」は、間違いではないものの、ほかの店も同じように使っている言葉です。物語に登場するライターは「『厳選素材』は、どの店でも言える」と指摘しました。そして、どこにでもある言葉を消し、この蔵にしかない事実だけを残しました。

書き直しで見るのは、言葉の派手さではなく具体さです。「寒い蔵」より「吐く息が白くなる蔵」のほうが、読んだ人の頭に景色が浮かびます。写真に撮れるくらい具体的な言葉に置き換えられないか、一文ずつ確かめます。数字や場所、季節、人の動きなどです。

言い換えの候補はAIが40案出し、そのなかから嘘のない一文を人が選んでいます。候補をたくさん並べるのは、AIの得意なことです。どれがお店の実際の姿に合っているかを決めるのは、取材で話を聞いた人です。

翻訳調の言い回しも、この段階で直します。AIの日本語は「〇〇は、〇〇です。」と主語を立てて言い切る文が続きがちです。サービスの説明を「〜しなくていい」という否定の形で組み立てることも多くあります。声に出して読むと、翻訳記事のように聞こえます。文の形を変え、具体的な物や場面を主語にすると、話し言葉に近い自然な文章になります。

翻訳調かどうかは、声に出して読むといちばんよく分かります。読点の位置で息継ぎができるか、同じ形の文ばかりが続いていないかを確かめます。引っかかった箇所から直していきます。

私たちが自社の記事を書くときも、言い回しの使い回しを確かめています。過去の記事と読み比べて、書き出しやまとめの言い回しが重なっていないかを見ます。同じ決まり文句が並ぶと、読む人には量産された文章に見えてしまうからです。

誇大表現は、どうやって見つけて直すの?

「日本一」「必ず売れる」のような裏付けのない言葉は、公開前に洗い出して外します。法律の面でもお店を危うくするからです。

AIの下書きにも人が書いた原稿にも、勢いで書いた言い過ぎが混ざることがあります。「日本一」「必ず売上が上がる」のように、根拠を示せない表現や効果を約束する書き方です。こうした表現は景品表示法(商品やサービスの表示についての法律)の面で問題になりやすく、お店の信用も損ないます。

私たちは、誇大表現になりそうな箇所をAIに拾い出してもらい、残すか直すかを人が判断しています。言葉だけを見ても決められないものもあります。その場合は、取材で聞いた話や手元の記録と照らして、裏付けがあるかどうかを確かめます。

自社の発信でも、公開の前に確認する項目を決めています。「誇大な表現や効果の保証がないか」「事実や数字が実際のデータに基づいているか」といった項目です。1つでも当てはまれば公開を止め、人が見直してから出す決まりです。

取材で伺った事実をそのまま書いた一文は、誇張した言葉よりも読む人に信じてもらいやすくなります。言い過ぎを外すと文章が弱くなるのでは、と心配される方もいます。けれども、事実で書いたほうが、お店の強みもまっすぐ伝わります。

見出しとキャッチコピーは、何をもとに決めるの?

見出しは、取材で拾ったお店の方自身の言葉を芯にします。そのうえで、読む人が自分のことだと受け取れる形に整えます。

味噌蔵のトップページの見出し「冬の蔵で、ゆっくり。」は、打ち合わせで店主がぽろっと言った「冬の蔵は寒い。でも、それがいいんです」という一言を芯にして作りました。AIが試作したときの見出しは「伝統の味を、食卓へ。」でした。通販のお店を前提にした言葉です。

見出しには役割の違いがあります。目に飛び込ませたいキャッチコピーは、短く言い切る形が合います。本文の内容をまとめる見出しは、読む人が頭の中でつぶやく問いかけや、です・ますの文にしたほうが伝わりやすくなります。このページの見出しを問いかけの形にしているのも、そのためです。

キャッチコピーは、2つの形を使い分けます。お店が提供するものを短い名詞で示す形と、読む人の心の声をそのまま文にする形です。「蔵見学を予約する」のようなボタンの言葉も、押したあとに何が起きるかが分かる言い方を選びます。

見出しの考え方は、検索結果に表示されるページタイトルにもつながります。味噌蔵の例では「〇〇味噌店|諏訪の手づくり味噌と蔵見学」としました。探している人が打ち込む言葉とお店の特徴が、一度で伝わる組み立てです。今お使いの原稿を見せていただくところから、一緒に始めましょう!

AIと人の分担

この段階の5工程のうち、AIが主に担うものが1、人とAIで進めるものが3、人が担うものが1です。

AIAIが担うこと

  • 議事録とブリーフから原稿の下書きを作る
  • 言い換えや見出しの候補をまとめて出す
  • 誇大表現や裏付けが要る表現の候補を拾い出す
  • 翻訳調の文や決まり文句が続く箇所に印を付ける

人人が担うこと

  • どの店でも言える言葉を、その店の事実に書き直す
  • 言い換えの候補から、嘘のない一文を選ぶ
  • 誇大表現を残すか直すかを、根拠を確かめて決める
  • 店主の言葉を芯に、見出しとキャッチコピーを決める

この段階の5工程

  1. 19

    原稿の下書き AI

    取材の議事録やブリーフをもとに、AIが原稿の下書きを作ります。速く整った文章ができます。ただし、そのまま載せず、書き直しのための材料として使います。

  2. 20

    AIっぽさを消す書き直し 人

    「伝統」「厳選素材」のような、どの店でも言える言葉を消し、取材で知った事実に置き換えます。その店にしか書けない一行にするのは、取材した人の仕事です。

  3. 21

    翻訳調の言い回しを直す AI×人

    翻訳記事のように聞こえる箇所を、AIと人で見つけて直します。主語を立てて言い切る文の連続や、否定形での説明などです。話し言葉に近い、自然な日本語にします。

  4. 22

    誇大表現のチェック AI×人

    「日本一」「必ず売れる」のような裏付けのない表現を、AIが拾い出します。人が根拠を確かめ、直すか外すかを決めます。言い過ぎは法律の面でもお店を危うくします。

  5. 23

    見出しとキャッチコピー AI×人

    店主が取材で口にした言葉を芯に、見出しとキャッチコピーを作ります。AIが候補を出し、そのお店らしく嘘のない言葉を人が選びます。

よくある失敗

AIの下書きをそのまま公開する

どの店でも言える言葉だけのページが、そのまま公開されてしまいます。文章に誤りがないため、見過ごされやすいのです。読む人の記憶に残らず、ほかの店との違いも伝わりません。

勢いのある言葉で盛りすぎる

「日本一」「必ず売れる」のような裏付けのない表現は、法律の面でもお店の信用の面でも危うくなります。根拠を示せない言葉は外し、具体的な事実で強みを伝えます。

決まり文句を使い回す

同じ書き出しや締めの言葉がどのページにも並ぶと、量産された文章に見えてしまいます。ページごとに、入り方と言い回しを作り直します。

文章についてよくある質問

原稿は、自分で書いたほうがいいですか?

一から書いていただく必要はありません。取材でお話を伺い、下書きは私たちが用意します。ご自身で書きためたメモや、お客様によく話している言葉があれば見せてください。それがいちばん良い材料になります。

AIが書いた文章は、検索で不利になりませんか?

検索で問われるのは、AIで書いたかどうかよりも、読む人の役に立つ中身があるかどうかです。どの店でも言える内容だけでは、ほかのページとの違いが出ません。私たちが取材で知った事実をもとに書き直すのは、そのためです。

「地域No.1」と書きたいのですが、書けますか?

根拠となる調査や数字を示せない場合は、書かないことをおすすめしています。裏付けのない表現は、法律の面でもお店を危うくするためです。代わりに、取材で伺った具体的な事実で強みが伝わる書き方をご提案します。

文章の確認は、いつ、どのように行いますか?

原稿は、テスト用のページに組み込んだ状態で読んでいただきます。実際の見え方で読むと、言い回しの違和感や事実の誤りに気づきやすいためです。直していただいた点を反映してから公開します。

どの工程から必要か、
一緒に整理しませんか。

全部をお任せいただく必要はありません。いまのホームページのどこが足りないのか、話を聞くところから始めます。