ホームページを作るのに、なぜ取材や撮影が必要なのですか?
AIや手元の資料だけでは、どの店にも当てはまる文章しか作れないからです。私たちはお店に伺い、お店の方がふと口にした言葉を集めます。その場の空気が伝わる写真もあわせて集め、見出しや本文の芯にします。ページに載せる事実は、公開前に記録やデータと照らして一つずつ確かめます。
- AIに調べられない一次情報を、現場に伺って聞き出す
- 店主の何気ない一言を、そのまま見出しの芯にする
- 載せる事実は、記録や実データで裏を取ってから書く
取材をしないと、ホームページはどうなるの?
取材をせずに作ると、どこの店のものか分からないページになります。店名を入れ替えても、そのまま通じてしまうページです。
架空の味噌蔵を例に、取材をせずAIだけでトップページを試作してみます。数分でできあがるのは、「創業百年の老舗」「伝統の味を、食卓へ。」「厳選素材にこだわった本格味噌」といった言葉の並んだページです。
見た目は整っていて、文章にも誤りはありません。ところが、これらの言葉はどの味噌屋にも当てはまります。店名を入れ替えても、そのまま通じてしまうのです。さらにAIはこのお店を通販の店だと思い込み、いちばん目立つボタンに「商品一覧を見る」と書きました。
AIだけで作ったページの困るところは、中身の薄さに誰も気づかないまま公開されてしまう点です。それらしく見えるために、気づかれにくいのです。
実際の店主の願いは、通販の売上よりも、冬の蔵に見学に来てくれる人を増やすことでした。この「誰に、何をしてほしいのか」は、資料にもネットにも書かれていません。お店の方から直接伺うしかないのです。取材は、お店の本当の目的とそのお店らしさを、ページの材料として集めるための工程です。
取材は、最初の打ち合わせ(ヒアリング)の次の段階です。ヒアリングでは、ホームページで何を実現したいかを伺います。取材では、決まった目的に沿って、ページに載せる具体的な言葉と写真を集めに行きます。
取材では、どんなことを聞かれるの?
取材で伺うのは、お店の方にしか答えられない具体的な事実です。その仕事に込めている思いも伺います。
私たちは、お客様しか知らない一次情報はどんなAIにも調べられない、という前提で取材に臨みます。そのため、その場で働いている人でなければ答えられない質問を用意して伺います。味噌蔵なら「この冬、蔵でいちばん忙しい日はいつですか」のような質問です。
質問は、具体的な場面を思い浮かべて答えられる形にします。「お店の強みは何ですか」のような大きな問いより、「どんなときにお客様が喜びますか」と聞きます。大きな問いには、「品質」「真心」のような、どの店でも言える答えが返ってきやすいからです。
質問は事前に準備しますが、本当に使える言葉は、予定していた質問の外から出てくることもあります。物語の味噌蔵では、打ち合わせの途中で店主が「冬の蔵は寒い。でも、それがいいんです」とぽろっと言いました。その一言が、そのままトップページの見出し「冬の蔵で、ゆっくり。」の芯になりました。
録音の文字起こしや議事録の清書は、AIが受け持ちます。まだ聞けていないことの洗い出しも同じです。そのうえで、どの言葉に温度があり、どれがお店の本音なのかを聞き分けるのは、目の前で話を聞いている人の役目です。
取材の時間は、お店の方に仕事の手を止めていただくことになります。そのため、ネットや資料で調べられることは、調査の段階でAIを使って済ませておきます。当日は、お店の方にしか答えられない質問に時間を使います。
- お客様がいちばん喜ぶ瞬間
- 忙しい時期とその理由
- よく聞かれる質問
- 同業の店との違い
- この仕事を続けている理由
撮影では、何を主役に撮るのですか?
写真の主役は、商品の見栄えで決めません。ページを見た人にしてほしい行動に合わせて決めます。
味噌蔵の例では、デザイナーが「写真は『味噌』より『蔵の中』」と判断しました。トップページの主役を、商品写真から蔵の中の写真に替えています。来てほしいのは、味噌を通販で買う人ではなく、週末に蔵を見に来たい人だったからです。
取材した人が書き直した一文「冬の朝、蔵の中は吐く息が白くなります。その寒さが、味噌をゆっくり育てます。」も、蔵の寒さを肌で知っていたから書けたものです。文章と写真は別々の作業に見えますが、どちらも現場に立った人が拾った手ざわりから生まれます。そのため私たちは、取材と撮影をひとつの工程として扱っています。
写真と文章が別々に作られると、ずれが起きます。本文では蔵見学をすすめているのに、写真は商品ばかりというずれです。そこで、取材で拾った言葉と写真が同じ場面を指しているかどうかを、ページに組む前に確かめます。
撮った写真は、そのままの大きさで載せるとページが重くなります。開く前に、戻るボタンを押されてしまうこともあります。見学先を探す人の多くは、スマホで移動の合間に見ています。そのため写真は、見た目を落とさずに軽くする作業を経てからページに載せます。
撮影の前に、どの写真をページのどこに置くかを設計図(ワイヤーフレーム)で確かめます。こうしておくと、撮り漏れを防げます。トップページの主役、見学の案内、商品の紹介と、置き場所ごとに必要な写真は違います。
載せる内容が本当かどうか、どう確かめるの?
ページに載せる事実は、取材で聞いた話であっても、記録やデータで裏を取ってから原稿にします。
取材で伺った話をそのまま書けば正しい、とは限りません。記憶違いや言葉の省略は、誰にでもあるからです。数字や決まりごとが絡む事実は、資料や記録と照らし合わせてから原稿にします。創業年や商品の条件などが、これにあたります。
実際にあった例では、ネットショップの送料のルールを見直すために注文データを調べました。すると、送料が無料になるかどうかは、購入金額ではなく重さで決まっていました。思い込みのまま案内文を書いていれば、事実と違う説明がページに載るところでした。
裏取りは、お店の方を疑うための作業ではありません。公開したあとに、お客様から「書いてあることと違う」と言われないよう、お店を守るための確認です。確かめたい点は、取材のあとにまとめてお伝えします。資料を見せていただくか、改めて伺います。
AIが書いた下書きには、それらしく見える事実が紛れ込むことがあります。私たちは、数字や固有名詞が実際のデータに基づいているかを一つずつ確かめます。出どころの分からないものは、載せずに外します。裏付けのない言い過ぎは、法律の面でもお店を危うくするからです。取材や撮影の進め方で気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください!
AIと人の分担
この段階の2工程のうち、AIが主に担うものが0、人とAIで進めるものが0、人が担うものが2です。
AIAIが担うこと
- 打ち合わせや取材の録音を文字に起こす
- 議事録を清書し、まだ聞けていない点を書き出す
- 下書きから数字や固有名詞を拾い出し、確認リストにする
- 撮影した写真を、見た目を保ったまま軽くする
人人が担うこと
- お店に伺い、その場の答えに合わせて質問を重ねる
- 何気ない一言から、見出しの芯になる言葉を拾う
- 写真の主役を、来てほしいお客様に合わせて決める
- 記録やデータと照らして、載せる事実を確かめる
この段階の2工程
- 17
取材と撮影 人
お店に伺い、お客様しか知らない事実や思いを聞きます。ページで伝えたい場面も撮影します。店主の何気ない一言を拾い、見出しや写真の主役を決める材料にします。
- 18
事実の裏取り 人
原稿に載せる数字・固有名詞・条件を、記録や実データと照らして確かめます。出どころの分からない内容や、裏付けのない言い過ぎは載せずに外します。
よくある失敗
取材を省いてAIの文章だけで作る
「伝統」「厳選素材」のような、どの店でも言える言葉だけのページになります。見た目が整っているぶん、中身の薄さに誰も気づかないまま公開されてしまいます。
商品写真だけを並べてしまう
来てほしいお客様が見たい場面と写真がずれると、ページの目的が伝わりません。味噌蔵の例では、商品よりも蔵の中の写真を主役にしました。
聞いた話を確かめずに載せる
記憶違いや思い込みが、そのまま公開されてしまいます。送料の条件が、金額ではなく重さで決まっていた例もあります。事実はデータで確かめてから書きます。
取材・撮影についてよくある質問
取材でうまく話せる自信がありません。大丈夫でしょうか?
上手に話していただく必要はありません。こちらから具体的な質問をして、ふだんのお仕事の話を伺う形で進めます。話の途中でふと出た一言が、いちばん良い見出しになることもあります。
AIで文章が作れるなら、取材は省いてもいいのでは?
AIは数分で整った文章を作ります。ただ、店主が言葉にしなかった気持ちや、そのページを本当に使う人の手ざわりまでは汲み取れません。私たちはAIに下書きや整理を任せ、取材で集めた言葉でそれを書き直しています。
写真はプロに撮ってもらう必要がありますか?
載せる写真の役割やご予算によって変わるため、取材の前にご相談して決めます。お手持ちの写真が使える場合もあるので、まずは今ある写真を見せてください。
取材をもとにした原稿は、公開前に確認できますか?
はい、確認していただけます。原稿を組み込んだページは、テスト用の場所に作ります。お客様に見ていただいてから公開します。事実と違う点や、表に出したくない内容があれば、その段階で直します。