ホームページ制作のヒアリングでは、何を聞くのですか?
事業の内容や載せたい情報に加えて、「ホームページで本当は何を変えたいのか」をうかがいます。依頼の言葉と本当の願いは、たいてい少しずれています。私たちは、そのずれを見つけるところから制作を始めます。打ち合わせの録音は、AIが文字に起こして整理します。本音に気づいてゴールを決めるのは、人が担います。
- 依頼の言葉の奥にある、本当の願いを聞き出す
- 録音の文字起こしと整理はAI、本音に気づくのは人
- ゴールを決めてお客様と合意してから、調査と設計に進む
ヒアリングでは、どんなことを聞かれるの?
聞くのは事業の情報だけではありません。「ホームページで何を変えたいか」という願いそのものです。
初回のヒアリングでいちばん時間をかけるのは、「ホームページで本当は何を変えたいのか」という問いです。その前に、会社やお店の事業内容、扱っている商品やサービスをうかがいます。いまのホームページで困っていることも、順番にお聞きします。
話題は事業の説明だけに絞らず、日々の商売の話もうかがいます。いまのお客様がどこから来ているか、どんなお客様に喜ばれているかといった話です。忙しくなるのはいつかも、あわせてお聞きします。ホームページで伝えるべきことは、こうした何気ない話の中に隠れているからです。
架空の味噌蔵の例では、最初の電話は「ホームページが古いので、新しくしたいんです」という依頼でした。この味噌蔵は、いくつもの実際の仕事をもとに組み立てた例です。話を聞き進めると、三代目の店主が「本当は、蔵に見学に来てくれる人を増やしたい」と口にしました。制作の目的は、そこで大きく変わりました。
依頼の言葉と本当の願いは、たいてい少しずれています。「古いから新しくしたい」の奥には、「スマホで見ると文字が小さくて読めない」がありました。さらに奥には「若い人がうちのことを知らない」がありました。いちばん奥にあったのが、「蔵を見に来てほしい」という本音です。
見た目を新しくするだけなら、この奥の部分まで聞かなくても作れます。ただ、誰にも見つけてもらえず、問い合わせも来ないホームページでは、作り直した意味がほとんどありません。まだ言葉になっていない困りごとも、そのままの言葉でお聞かせください。
AIが聞き取りを手伝えるのは、どこまで?
録音の文字起こしと整理はAIが受け持ちます。本音に気づく役目は、目の前で話を聞く人が受け持ちます。
打ち合わせの録音は、AIが文字に起こします。AIは話の要点をまとめ、まだ聞けていないことを一覧にしてくれます。そのため、次の打ち合わせで何を確かめればよいかがすぐに分かります。
一方で、「いまの一言が本音だ」と気づけるのは、その場で話を聞いている人間です。物語の味噌蔵では、店主が打ち合わせで「冬の蔵は寒い。でも、それがいいんです」とぽろっと言いました。ディレクターはこの一言を拾い、そのまま見出しの芯にしました。
録音を文字にする作業と、言葉の温度を拾う作業は、似ているようで別の仕事です。AIは議事録をきれいに清書できます。ただ、その言葉にどれだけ気持ちがこもっていたかまでは分かりません。
私たちが大切にしているのは、役割の違う人の目を何度も通すことです。ディレクターが拾った一言を、ライターやデザイナーがそれぞれの立場で読み直します。そうすることで、一人では見落としていた手がかりに気づけます。
話を聞いて本音を見つける役目は、人が手放さないようにしています。AIは、店主が言葉にしなかった気持ちまでは汲み取れないからです。整理や清書はAIに任せて、そのぶん速く進めます。
聞いた話は「ブリーフ」という1つの文書にまとめます
聞いた内容は、事業の整理表であるブリーフにまとめます。その後の作業のたびに、この文書を読み返します。
ヒアリングで聞いた内容は、ブリーフと呼ぶ文書にまとめます。ブリーフとは、制作の土台になる資料のことです。事業の内容、来てほしいお客様、地域の特徴、目指すゴールなどを1か所に整理します。
下書きはAIが録音や資料から作ります。人はそれを読み直し、お客様が大事にしていることや言葉の温度を書き足します。ここで整理した内容は、私たちが作業のたびに読み返す文脈になります。調査、設計、文章から、公開後の改善まで同じです。
AIに作業を頼むときも、最初に読ませるのはこのブリーフです。AIは、ブリーフに書かれていないことを知りません。ここが薄いと、AIが出す案もどこかで見たような浅いものになってしまいます。
整理を進めると、AIだけでは埋まらない空欄がたいてい出てきます。「この冬、蔵でいちばん忙しい日はいつですか」のような、お客様しか知らない一次情報です。こうした情報は、どんなAIにも調べられません。空欄が残ったときは、私たちが聞きに行きます。
ゴールは、いつ・どうやって決めるの?
調査や設計に入る前に、何をもって成功とするかを言葉にして、お客様と合意します。
本当の課題が見えたら、まずそれを一文の言葉にします。味噌蔵の例でいえば、課題は「ホームページが古いこと」ではありませんでした。「蔵を見てもらえば分かってもらえるのに、その機会が少ないこと」です。
課題が言葉になると、ゴールも決めやすくなります。物語では、代表が店主と30分話し、ページの目的を「通販」から「蔵見学」に切り替えました。AIは売り場の型を3つの案で出しましたが、どの店にするかを決めたのは人です。
決めたゴールはお客様と私たちで合意し、ブリーフにも書き残します。この合意があると、次の調査でどんな言葉を調べるかが自然に決まります。設計でどのページを手前に置くかも同じです。公開後も、何を基準に良し悪しを判断するかで迷わなくなります。
反対に、ゴールが曖昧なまま進むと、作業のたびに「これで合っているのか」という迷いが出てきます。ヒアリングは制作の入口です。ここで決めたことが、ホームページ全体の向きを決めます。まずは、いまのお困りごとから聞かせてください!
AIと人の分担
この段階の5工程のうち、AIが主に担うものが1、人とAIで進めるものが1、人が担うものが3です。
AIAIが担うこと
- 打ち合わせ録音の文字起こし
- 話の要点と、まだ聞けていない点の一覧づくり
- 議事録の清書
- ブリーフの下書き
- ゴールの候補になる売り場の型の案出し
人人が担うこと
- 初回の打ち合わせで、直接話を聞く
- 本音の一言に気づいて拾う
- 依頼の言葉と本当の願いのずれを、一文にする
- ゴールを決めて、お客様と合意する
- AIでは埋まらない一次情報を聞きに行く
この段階の5工程
- 01
初回のヒアリング 人
事業の内容と、いまのホームページで困っていることを、目の前で直接うかがいます。本当はどうなりたいかも、あわせてお聞きします。依頼の言葉の奥にある願いを探すのが、最初の打ち合わせの役目です。
- 02
録音の文字起こし AI
打ち合わせの録音をAIが文字に起こします。話の要点とまだ聞けていない点を整理し、聞き漏らしを防ぎます。次の打ち合わせで何を確かめるかも、これではっきりします。
- 03
事業の整理(ブリーフ) AI×人
事業の内容、来てほしいお客様、地域、ゴールを1つの文書にまとめます。下書きはAI、仕上げは人が担います。以後の作業のたびに、この文書を読み返します。
- 04
本当の課題を言葉にする 人
「新しくしたい」という依頼の奥にある本当の課題を、一文の言葉にします。味噌蔵の例では「蔵を見てもらう機会が少ないこと」が本当の課題でした。
- 05
ゴールを決めて合意する 人
何をもって成功とするかを決め、お客様と合意してブリーフに書き残します。この合意が、調査で何を調べ、設計で何を手前に置くかの基準になります。
よくある失敗
依頼の言葉どおりに作り始める
「新しくしたい」をそのまま受け取ると、見た目だけが新しくなります。本当に増やしたかった来店や問い合わせは増えません。依頼の奥にある願いを聞かないまま進めてしまうのは、よくあるつまずきです。
ヒアリングをAIに任せてしまう
AIに業種と店名だけを渡すと、整ったページが数分でできあがります。しかし味噌蔵の試作では、AIは通販の店だと思い込みました。付けた見出しは「伝統の味を、食卓へ」という、どの店にも書けるものです。見た目がきれいなぶん、ずれに気づかれないまま公開されてしまいます。
ゴールを決めずに次の工程へ進む
成功の基準を決めないまま調査や設計に入ると、判断のたびに意見が割れます。公開後も、数字が良いのか悪いのかを測る物差しがなくなります。
ヒアリングについてよくある質問
まだ何を作りたいか決まっていなくても、相談できますか?
はい、ご相談いただけます。最初のお話が「ホームページが古いので、新しくしたい」の一言だけでも問題ありません。何を変えたいのかを一緒に言葉にしていくのが、ヒアリングの役目です。
打ち合わせを録音するのはなぜですか?
話の内容を正確に残し、聞き漏らしを防ぐためです。録音はAIが文字に起こして、要点を整理します。まだ聞けていないことも、そこから洗い出します。録音に抵抗がある場合は、打ち合わせの最初にお知らせください。
ヒアリングもAIに任せれば、早く済むのではありませんか?
整理や清書はすでにAIに任せており、そのぶん速く進めています。ただ、店主が言葉にしなかった気持ちは、AIには汲み取れません。そのページを本当に使うお客様の姿も同じです。AIだけで作ると、整っているのに中身の薄いページになりがちです。だから、聞く役目は人が担います。
ヒアリングで決めたゴールは、あとから変えられますか?
変えられます。次の調査で分かった事実をもとに、狙うお客様やゴールを見直すこともあります。その場合は理由をお伝えし、改めてお客様と合意してから先に進みます。